2013年1月28日月曜日

見立て文化

鬼の霍乱か・・ 家人が年末から年始にかけて10年ぶり?に風邪を引いてしまい、
どうやら陶の庵にもそのウイルスがのりうつったらしい。
潜伏期間を過ぎた10日前位から咳きや鼻水の症状が出始め、
何となくすっきりしない日々を送っています。

そんな一日、
暖かくした部屋で、ウトウトしながら本をながめ、ながめては又、ウトウトしたり、
桃源の境地で読んでいた本の中で「見立て」という文字が目にとまりました。

   「見立て」 あるものを別のものに擬えることを指す。
             ある状況をそれとは別の状況や、物事の様子から見て取る。

茶の湯でも利休さんが、水筒として使われていた瓢箪を花入れに用いたり、
井戸から汲み上げたままの水を水屋に置く為のつるべを、つるべ水指として使われたり、
日常の生活雑器等、本来茶の湯の道具でなかった品々を、茶の湯の道具として
使われる工夫をされました。 又、茶室の入り口に設えられた「躙口」は、船に乗る為に
出入りする潜り口を茶室にとり入れられた事等は知っていましたが、
その本にはなる程と思った事が多々ありました。

庭を植物や水を一切使わず石や砂だけで自然を表現する枯山水。
京都の竜安寺が有名ですネ。
落語では噺家が手ぬぐい一本で様々な情景を表現し、お客様もこれを想像しながら楽しむ。
能舞台の背景に立派な老松が一本描かれています。(名古屋能楽堂には若松もあります)
これは神の依代、神様が乗り移ったという意味で心霊の見立て。
神社や正月飾りのしめ縄は、罪や穢れを取り除くみそぎの印。
敷居やのれんは結界という境目であるというけじめ・・等々

その中でも、お正月のおせち料理は見立てのオンパレードだとか。
昆布巻きはよろこぶの語呂合わせばかりでなく、文物の巻き物という意味から
文化、教養を表わす。 きんとんは金色ですなわち財の見立て。
黒豆はまめまめしく働く、という語呂合わせから勤労を。
数の子は子宝を。 鯛は「めでたい」  紅白なますはお祝いの水引をかたどったもの。
くわいは大きな芽が出ることから芽が出る・・出世を祈願等々。

先日おせち料理を作ったばかりでしたが、陶の庵は大切な物を作り忘れてしまいました。
財の見立て「きんとん」!
ヤッパリ、今年も例年のごとくお足にはご縁がなさそうね。
 ト、ホ、ホ、

おせち料理はもち論ですが、他の料理に比べ日本料理は色や形や盛り付け等、
様々な見立てを五感で楽しみながら味わいます。
身近な家庭料理でも、お弁当に必ず入っていたリンゴの兎、
ウィンナーソーセージで作ったタコ等懐かしい思い出です。
  
私達日本人は日常生活から神仏の儀礼的なしきたりに至るまで、
ありとあらゆる見立てに囲まれた日々の生活をしているんですネ。

日本の「見立て文化」 \(^ ^)/

2013年1月21日月曜日

「椿」

日本で生まれ育ち、世界中に広がり寒風の中、凛とした美しい花を咲かせる「椿」
大地からのエネルギーを一杯吸収した椿は、私達に元気と活力を与えてくれます。

古代から神聖な、不老長寿の霊木として尊ばれてきましたし、
つややかな光沢のある美しい葉と、その間に咲くかわいらしい花が、
人々の心をとらえ、古事記や日本書紀の中にも記されているそうです。
椿の園芸栽培が出来るようになった室町時代から、特に意識され、
同じようにその頃から盛んになった茶の湯と共に、注目されるようになりました。

椿は見るだけでなく、椿餅から灯火用、化粧用油として私達の生活に密着した植物です。

二枚の椿の葉で挟んだ椿餅は、源氏物語で光源氏が食べた?
と言われる道明寺粉で餡を包んだ椿餅とはチョット違いますが、
この季節とっても愛らしい椿餅、お稽古の時に必ず使いますネ。


漉餡を羽二重餅で包みその上から寒天が・・・
雪椿の食籠に盛ってみました。
鮮やかな椿の葉と何とも優しいピンク・・厳しい寒さのなかに春が待たれます。

茶の湯の世界では、炉の茶花としてなくてはならない特別な「椿」

花言葉「慎み深い」 ずっしり心に響きます(*´ー`)

2013年1月16日水曜日

「譲葉」と「柿膾」

茶人の正月は口切の11月といわれます。
暦の上で新年を迎える1月も、また、お祝い気分にあふれ華やかな初釜はとても楽しみです。
先日、上飯田にあります「志ら玉」で催された初釜に出掛けてまいりました。


 

表千家の初釜のお点心でよくお目にかかるのが「柿膾」です。
「譲葉」の上にこんもり盛られた「柿膾」を見ますと、いかにも新春を迎えたという
晴れやかな気持になります。



 「柿膾」は、柔らかくした干柿を細長く切り、それにおろし大根を和え、
お酢で味付けしたとても素朴な和え物です。
「柿膾」も美味しいですが、大切なのは下に敷く縁起物の「譲葉」です。
冬枯れの風景の中でも、この木は青々と葉を茂らせ、新しい葉が整ってくると、
古い葉が「譲る」ように散るところから「譲葉」というそうですが、いい名前ですね。
若い葉が育ち、一人前になるのを十分に見届けてから、散り急ぐわけでもなくある日
さりげなくハラリと散る・・・何やらとても意味深いですね。

「譲る」 自分の所有物、地位、権力などを他人に与えてまかせる。
自分を後にして他の人が先になるようにする。 
 ウーン、ウーン、ムツカシー!

私達の周りには、「譲る」ことより「奪う」ことの方が多いこの頃ですが、
先達から受けついだ良き伝統を、次の世代に譲ることのできる何か?を、
身につけたいと思っています。

2013年1月9日水曜日

「表」と「裏」

ものには「表」と「裏」がありますよね。
案外本音は裏に隠されている? そういう感覚が私達にはあり、
特に日本の文化は裏を重んずる文化という気がいたします。
裏書、裏方、裏作、裏芸、裏金、私達の大好きな?裏話・・・

着物の「裏にこる」という人がいますが、多分裏の良さは自分だけが知っているという、
密かな自己愛があるのでしょうか。 本当の自分はさらけださない? 奥床しさ?
又、人形浄瑠璃の浄瑠璃に合わせて人形を遣う太夫さんと人形、
どちらが表か裏か解かりませんが表裏一体ですよね。
それと、クリスマスから年末にかけてのイルミネーションの光と闇、
闇がなければ光の美しさも見えません。

裏文化は日本の伝統芸能や伝統工芸等の美意識と切り離せない独特な文化です。
お茶のお道具の中にも色々あり、閉じていると真っ黒で一見地味な感じですが、
裏は「菊(喜久)」の画代わり蒔絵、蓋を開けると一気に華やかな雰囲気になります。

先日初稽古に使った煮物椀です。

一般的にはあの人は表裏のない人と言うと、本音と建前がかけ離れていない
信頼できる人ですよネ。でもチョット憂いのあるミステリアスな人も魅力的・・
(*'-^)

  同じ裏でも「裏口入学」とか、「裏工作や裏金」の話は別!!

2013年1月3日木曜日

「飾り胴炭」

迎 春
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます


お茶席には茶の湯の必需品である炭に思いを寄せたり、炭は邪悪を払うと言う事から
お正月の鏡餅の代わりに飾ったり、又香を香らせて茶室を清浄にする役割もあり、
炭への感謝を込め縁起物も盛り込んで炭を床の間に飾ります。

茶の湯の炭はとても綺麗ですね。クヌギの樹で着火性が良く、
火が点けば微かに香りが漂い長持ちいたします。
炭の断面がまん丸で、切り口が菊の花のように均一に割れ目があるのが、
良い炭でその姿から「菊炭」とも呼ばれています。
釜の火加減により松風を聴かせてくれたり、炉の炭手前の拝見時、しっとり撒かれた
ぬれ灰にお炭の黒、燃える火の赤、枝炭の白・・・美しいコントラストです。


「綴じ目」の扱いは八寸や四方盆、丸盆や曲げ建水等は「丸前 角向こう」ですが、
三宝に関しては丸三宝、角三宝を問わず綴じ目は手前(正面側)です。
本来、神仏に供えるものだから神仏から見て綴じ目が向こう・・・
なるほど、納得ですよね。


あらたまの  飾り胴炭  据え置きし
心引きしむ  おごそかな刻(とき)

(@^-^)